浮き袋を持たない魚たち

   

 魚は、水の中を縦に横に自由に泳ぎまわっています。はるか沖にいたものが、岸から撒いたエサを求めていつの間にか岸近くへきていたりします。また、浅いところにいたサカナが、次の瞬間には水中深く潜っていき、姿が見えなくなってしまうシーンも時々みかけます。人間も、職業潜水士などが同じように深い海底にあるアワビなどをとろうと頑張って潜っていくのですが、やはり水圧の変化についていけずに潜水病になって苦しむということがあるようです。サカナが自由に泳げ回ることができるのは、魚の体の中に浮き袋という器官を持っているおかげです。魚は、この器官によって水圧の変化に自分の体を対応させています。浮き袋の中には気体が詰まっていて、その体積を増減させて、周りの水の比重と自分の体の比重が同じになるようにしているのです。ただ、急激な水圧の変化には、この便利な袋の機能も追いついていけないようです。その証拠に、深海で釣られたアコウダイは釣り上げられる際に大急ぎでリールを巻かれると、水面近くではこの袋を口から飛び出させて、水面に浮いてきてしまいます。また、瀬戸内海鳴門のマダイは、渦潮に巻き込まれると、水圧の変化に対応できず、「浮きダイ」と呼ばれて水面に姿を見せてしまいます。
サカナの中には、この浮き袋を持たない種類もいます。その一つがキンメダイです。キンメダイは水深200メートル付近の深い海の海底付近に棲息している魚ですが、釣り人などに釣られてリールで巻かれて水面まで引き上げられてきても、アコウダイのように口から袋を出して浮き上がることもなく、水面近くを元気に泳ぎ回っています。
そもそもサカナの浮き袋は、サカナの体の比重が海水よりも重いために、浮力を得なければならないということで発達したものです。しかし、キンメダイのように、アイナメやカレイの仲間の多くは浮き袋を持ちません。これらのサカナに共通しているのは、海底近くで暮らしているということです。海底にいるイソメ類などを漁ることはあっても、水面近くまでエサを追っていくということはしません。ほかにも、あまりにも深い海の底に棲んでいるため、浮力の調節などが無意味になってしまった魚たちにもこの器官がありません。海は深い場所ほどかかる圧力がつよくなり、水深1000メートルの場所では、1平方センチメートルあたり約1000キロの圧力がかかることになります。そんな場所では、今度はたとえ浮き袋を持っていても、そこには比重を調節するための気体は入っておらず、代わりに体温を保ってくれ、エネルギーもつくる脂が入っているのです。
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